日本とはここが違う!ベトナムの新年「テト」文化とお祝い方法
ベトナムでは、お正月といえば「テト」(旧正月)です。日本をはじめとした他の国々とは異なるベトナムならではの文化や風習が根付いています。特にテトでは家族や友人と過ごす時間が大切にされており、長年にわたって受け継がれてきた独特の祝い方があります。また、テトといえば「お年玉」も欠かせませんが、そこにもベトナムならではの面白い違いが見られます。この記事では、ベトナムのお正月「テト」について、他国との違いやお年玉事情、そして祝日の過ごし方について詳しくご紹介します。
1. ベトナムのお正月「テト」とは?
ベトナムのお正月「テト」は、旧暦の1月1日に祝われる旧正月で、毎年異なる日付になります。中国の春節(旧正月)と同様、旧暦に基づいているため、通常は1月下旬から2月上旬の間に行われます。この期間、ベトナムの人々は家族や親しい人々と過ごし、新年を迎える準備をします。
テトの期間は、通常1週間から10日間と非常に長く、多くの人が仕事や学校を休みます。年末には家を掃除し、幸運を呼び込むための飾り付けを施し、新年を迎える準備を整えます。
2. 他国との違い:テトならではの独特な風習
ベトナムのテトには、他国のお正月には見られない独自の風習があります。例えば、ベトナムではテトの際に「マイ」という黄色い花(ベトナムでは梅の花とされます)や「クムクアット」(金柑の木)が飾られます。これらは幸運や繁栄を象徴し、新年に豊かな生活をもたらすとされています。
また、テトの初日には、特に家を訪れる最初の来客が重要視され、「最初の訪問者がその年の運勢を決める」とされています。そのため、親しい家族や縁起の良い友人を初めての来客に招くことが多いです。
さらに、日本のように元日を一日で祝うのとは異なり、テトでは旧暦の元日から数日にわたって親戚や友人宅を訪ね、祝福の言葉を交わし合います。
3. ベトナムのお年玉事情
テトに欠かせないのが「リーシー」と呼ばれるお年玉です。日本のお年玉とは異なり、ベトナムでは赤い封筒(「リーシー」と呼ばれる)にお金を入れて渡します。赤はベトナム文化において幸運や繁栄の象徴とされ、特に新年には縁起の良い色とされています。
リーシーは年長者から子どもや若い世代に渡されるのが一般的ですが、会社の上司が部下に渡したり、友人同士で贈り合ったりすることもあります。金額はあまり多くなく、少額でも十分に気持ちが伝わるため、形式よりも「新年の挨拶」としての意味合いが強いです。
4. テト期間中の家庭での過ごし方
テトの期間中、ベトナムの家庭では家族が集まり、ゆったりとした時間を過ごします。長らく離れていた親戚が集まり、再会を喜ぶとともに、未来の計画を語り合うことが多いです。また、家族全員が揃ったタイミングで祖先への供え物を捧げるなど、伝統的な儀式も行われます。
また、テト期間中は家を訪れ合う習慣があり、親しい友人や親戚を招いて新年の挨拶を交わします。テトは家族や友人と絆を深める重要な時期とされており、普段なかなか会えない人とも交流する機会として大切にされています。
5. テトに欠かせない伝統料理と飾り付け
テトには、ベトナムならではの伝統料理が欠かせません。代表的な料理として「バインチュン」と「バインテット」があります。バインチュンは四角い形で緑色の葉に包まれたもち米の料理で、繁栄と収穫の象徴とされています。一方、バインテットは円筒形をしており、こちらも縁起物として親しまれています。
また、家庭では「マイ」や「クムクアット」といった花や植物が飾られ、新年にふさわしい華やかな雰囲気を作り出します。これらの飾り付けには幸運や幸福の願いが込められており、ベトナムのテトを象徴する風景のひとつとなっています。
6. まとめ
ベトナムのお正月「テト」は、日本の新年とは異なる独特の文化と風習にあふれています。家族や友人と過ごす時間が何よりも大切にされ、豊かで幸運な新年を迎えるためのさまざまな習慣が根付いています。また、お年玉「リーシー」や特有の飾り付け、伝統料理など、日本とは違った形で新年を祝い、年初の絆を深めています。
テトは単なる年明けの祝祭ではなく、家族や仲間との絆を再確認し、来る一年の幸運を願う大切な行事です。異文化の中でベトナムのテトを知ることは、ベトナム文化をより深く理解するきっかけになるでしょう。
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