ベトナムのコーヒー文化|歴史・特徴・おすすめカフェまで徹底解説

1. はじめに|“アジアのコーヒー王国”ベトナム

ベトナムといえば「フォー」や「バインミー」が有名ですが、実は世界有数のコーヒー生産国でもあります。
ブラジルに次ぐ世界第2位のコーヒー輸出国であり、街中のどこを歩いてもカフェや屋台でコーヒーの香りが漂います。

ベトナムのコーヒー文化は、単なる飲み物ではなく、日常の一部・コミュニケーションの場として人々の生活に深く根付いています。

2. ベトナムコーヒーの歴史

ベトナムにコーヒーが伝わったのは19世紀後半、フランス植民地時代のこと。
フランス人がアラビカ種を持ち込み、中部高原(ダラットやバンメトート)で栽培が始まりました。

その後、気候に適したロブスタ種の生産が拡大し、現在ではベトナム全土でコーヒー栽培が盛んに行われています。
独自のドリップスタイルと甘い練乳文化が融合し、他国にはない個性的なコーヒースタイルが確立されました。

3. ベトナムコーヒーの特徴

  • 深煎り・濃厚な味わい:強い苦味と香ばしさが特徴。
  • ロブスタ種中心:カフェイン含有量が高く、コクがある。
  • 練乳で甘く仕上げる:砂糖代わりにコンデンスミルクを使用。
  • フィン(Phin)ドリップ式:金属製のフィルターでじっくり抽出する伝統的な方法。

この「フィン式ドリップ」は、1杯ずつ丁寧に淹れるため、“待つ時間”さえ楽しむ文化とも言われています。

4. ベトナムで人気のコーヒーの種類

名称説明
Cà phê sữa đá(カフェスアダー)練乳入りアイスコーヒー。最も代表的なベトナムコーヒー。
Cà phê đen đá(カフェデンダー)ブラックのアイスコーヒー。濃厚で苦味が強い。
Cà phê trứng(カフェチュン)卵黄と砂糖を泡立てたクリームをのせた「エッグコーヒー」。ハノイ名物。
Bạc xỉu(バクシウ)コーヒーよりもミルクが多い、甘いラテ風ドリンク。南部で人気。
Coconut Coffee(ココナッツコーヒー)ココナッツミルクを加えた南国風アレンジ。観光客にも大人気。

 

5. コーヒーがつなぐ人と街の関係

ベトナムでは、朝から夜までカフェで過ごす人が多く、**「カフェ=社交の場」**として根付いています。
友人との談笑、仕事の打ち合わせ、ひとりのリラックスタイム――カフェはあらゆる世代の「居場所」になっています。

近年では、Wi-Fi完備のカフェや、SNS映えするデザインカフェも急増中。
伝統的な味とモダンな空間が融合し、カフェ文化そのものが進化しています。

6. ベトナムで訪れたいおすすめカフェ

☕ Giang Café(ハノイ)

エッグコーヒー発祥の店。1946年創業の老舗で、クリーミーな味わいが人気。

🌿 Cong Cà Phê(全国チェーン)

軍服モチーフのインテリアが特徴。ローカルにも観光客にも大人気。

🪴 The Workshop(ホーチミン)

洗練された空間で、本格ドリップコーヒーが楽しめる人気カフェ。

🌸 Katinat Saigon Kafe(ホーチミン)

ベトナム各地に展開するトレンドカフェ。デザイン性と味の両立が魅力。

7. ベトナムコーヒーの輸出と世界的評価

ベトナム産コーヒーは、世界中のブランドに供給されています。
特にロブスタ種は、インスタントコーヒーやブレンド豆の主要原料として高い需要があります。

また、サステナブル農業への取り組みも進んでおり、フェアトレードやオーガニック認証を受けた農園も増加中。
「安いだけでなく、品質の高いベトナムコーヒー」として世界市場での存在感を強めています。

8. まとめ|一杯のコーヒーに宿る“ベトナムの心”

ベトナムのコーヒー文化は、歴史・味・人の温かさが融合した独自の世界。
深煎りの香ばしさと甘い練乳の調和は、まるでベトナムの人生観そのもの――「苦味の中に、優しさがある」。

もしベトナムを訪れるなら、ぜひローカルカフェでゆっくりと一杯を。
その一杯のコーヒーが、あなたにこの国の“本当の豊かさ”を教えてくれるはずです。

(Photo by Unsplash.com)