【2026年版】ベトナム個人所得税(PIT)が改定|基礎控除15.5百万VND・扶養控除6.2百万VNDに増額へ

2026年1月1日より、ベトナムの個人所得税(PIT)の控除額が大幅に引き上げられます。
今回の改正では、基礎控除と扶養控除の両方が増額され、実質的に多くの労働者の税負担が軽減される見込みです。
この記事では、新しい控除額、税負担への影響、企業と従業員が準備すべきポイントを分かりやすく解説します。
目次
1. 2026年から適用される新しい控除額
ベトナムの新PIT控除額は以下の通りです。
| 控除区分 | 2026年以降(月額) | 旧制度(月額) |
|---|---|---|
| 基礎控除(本人) | 15,500,000 VND | 11,000,000 VND |
| 扶養控除(1人あたり) | 6,200,000 VND | 4,400,000 VND |
増額幅は以下のとおりです。
- 基礎控除:+4.5百万VND/月
- 扶養控除:+1.8百万VND/月
2020年以来となる大規模な控除改定で、低・中所得層の負担軽減が主な目的とされています。
2. 改定の背景|なぜ控除額が上がるのか
近年のベトナムでは、以下のような社会経済要因が続いています。
- 生活費・物価(CPI)の上昇
- 住宅費・交通費などの家計負担の増加
- 賃金水準や所得の上昇
- 経済成長に伴う消費構造の変化
これらを踏まえ、政府は2026年より控除額を見直し、可処分所得(手取り)の増加を図る方針です。
3. 新しい非課税ライン(目安)
控除額が上がることで、課税が発生する月収ラインも引き上がります。
【月収の非課税目安】
- 扶養なし:15.5百万VND/月まで非課税
- 扶養1人:21.7百万VND/月まで非課税
(15.5 + 6.2 = 21.7百万VND)
※実際の課税額は社会保険料・医療保険料などの控除後所得により最終決定
そのため、これまで課税対象だった給与帯の多くが、非課税または減税となる見込みです。
4. 従業員への影響|どのように「お得」になる?
1. 手取りが増える
基礎控除・扶養控除が上がるため、課税所得が減り、月々の手取り額が上昇。
2. 扶養家族がいるほど恩恵が大きい
扶養1人あたり6.2百万VNDの控除となり、世帯全体の負担が軽減。
3. 中間層がより節税に
税率区分が変わるケースも多く、年間のPITが大幅に減る可能性。
4. 税負担ゼロとなる社員が増える
特に月収15〜17百万VND前後の社員は、非課税となるケースが増える見込み。
5. 企業・人事・経理が準備すべきポイント
1. 給与システムの更新
2026年1月給与から新控除額で源泉計算を開始する必要があります。
2. 源泉徴収税額の再計算
控除変更により、月々のPITの徴収額が変動するため注意。
3. 人件費予算・給与テーブルの見直し
手取りが増えることにより、構造的な見直しが必要な場合も。
4. 社員への説明
控除変更により手取りが増えるため、事前に案内することで安心感が高まる。
5. 駐在員(税務上の居住者)も適用対象
税務上「居住者」に該当する外国人も、新控除額の適用対象です。
6. 新旧制度の比較イメージ(例)
例:月給20百万VND・扶養1人
旧制度(〜2025年):
控除合計 = 11.0 + 4.4 = 15.4百万VND
課税所得 = 20 − 15.4 = 4.6百万VND → 課税対象
新制度(2026年〜):
控除合計 = 15.5 + 6.2 = 21.7百万VND
課税所得 = 20 − 21.7 = マイナス → 非課税
→ 2026年から「税金ゼロ」に!
7. まとめ|2026年は多くの労働者にとって“減税の年”に
2026年からの改定により、
- 基礎控除:15.5百万VND
- 扶養控除:6.2百万VND
- 多くの従業員が減税または非課税に
- 企業は給与計算システムの更新が必須
- 低・中所得層の生活支援につながる
といった大きな効果が見込まれます。
従業員にとっても企業にとっても影響の大きいこの改定に向けて、2025年のうちに準備を進めることをおすすめします。

