知っておきたい!ベトナムの税金制度:旅行者から在住者までのガイド

ベトナムは観光やビジネスで訪れる外国人にとって、魅力的な国です。しかし、旅行や長期滞在、さらには仕事やビジネスを始めるとなると、「税金」に関する知識が必要です。この記事では、ベトナムでの税金制度について、旅行者、在住者、ビジネス関係者それぞれに役立つ情報をわかりやすく解説します。

1. ベトナムの税金制度の概要

ベトナムの税金制度は、国全体で統一された法律に基づいていますが、地方自治体が運営する地方税も存在します。主な税金の種類には以下があります。

  1. 個人所得税(PIT)
    給与所得や投資収益など、個人の所得に対して課税されます。たとえば、現地で会社に勤めている外国人やフリーランスの方が対象です。
  2. 法人税(CIT)
    企業が利益に対して支払う税金で、現在の基本税率は20%です。例えば、ホーチミン市で飲食店を運営する場合、この税率が適用されます。
  3. 付加価値税(VAT)
    商品やサービスに課される消費税です。VATが免除されるのは教育や医療などの特定分野の商品やサービスに限られます。
  4. 輸出入税
    特定の品目を輸入・輸出する際に課されます。例えば、日本からベトナムへ電子機器を輸出する場合には輸出税がかかる可能性があります。

これらの税金はすべて、外国人の旅行者や在住者にも影響する可能性があるため、事前に把握しておくことが大切です。

2. ベトナムにおける旅行者向けの税金

消費税(VAT)の返金制度

旅行者にとって最も直接的に関係するのが、消費税(VAT)の返金制度です。ベトナム国内で購入した特定の商品に対し、VATを払い戻してもらえる制度があります。

条件と手続きの流れ

  1. 購入条件
    商品1点あたりの金額が200,000 VND以上で、合計購入金額が2,000,000 VND以上の場合が対象です。たとえば、ホーチミン市の高級デパートでバッグを購入した場合、そのバッグの価格がこの金額を満たせば対象となります。
  2. 返金の手続き
    ホーチミンやハノイの国際空港に設置された「VATリファンドカウンター」で手続きが可能です。購入時にもらった領収書、パスポート、フライトチケットが必要です。
  3. 返金額
    購入金額の約85%が返金されます(15%は手数料として差し引かれる)。例えば、10,000,000 VNDの商品を購入した場合、約8,500,000 VNDが返金されます。

旅行中にお得に買い物を楽しむため、この制度を活用するのがおすすめです。

3. 在住者向けの所得税制度

外国人が支払う所得税

ベトナムで183日以上滞在すると「居住者」とみなされます。この場合、全世界所得が課税対象となります。一方、183日未満の滞在であれば、非居住者としてベトナム国内で得た所得のみ課税されます。

居住者の税率

所得税は累進課税方式で、以下のような段階的な税率が適用されます。

  1. 年間所得が60,000,000 VND(約30万円)以下:5%
  2. 年間所得が300,000,000 VND(約150万円)以下:10%
  3. 年間所得が960,000,000 VND(約480万円)以上:35%

たとえば、ホーチミン市で月収40,000,000 VND(約20万円)の外国人労働者の場合、年間約480万円の所得に対し、累進課税で約15%が税金として引かれます。

非居住者の税率

非居住者には一律20%の税率が適用されます。たとえば、短期間のプロジェクトでベトナムに滞在するフリーランスの方が現地で100,000,000 VND(約50万円)の収益を上げた場合、その20%(約10万円)が税金として差し引かれます。

4. 外国人が知っておきたい消費税(VAT)

ベトナムの消費税(VAT)は、通常10%が適用されます。一部の商品やサービスは5%、または免税対象となります。

具体例

  1. 10%のVATが適用されるもの
    • レストランでの食事
    • ショッピングモールでの服やアクセサリーの購入
    • スパや美容サービス
  2. 5%のVATが適用されるもの
    • 医療機器や医薬品
    • 特定の書籍や教育用教材
  3. 免税となるもの
    • 一部の教育サービス(国際スクールの授業料など)
    • 公共交通機関の利用(バス、電車など)

旅行者や短期滞在者にとって、この税金はほとんど気づかないうちに支払っていますが、VATリファンド制度を活用することでコストを削減できます。

5. ベトナムでの税金に関する注意点

税金申告の義務

外国人の居住者でも非居住者でも、所得が発生する場合は税金申告が必要です。現地企業に雇用されている場合、雇用主が申告を代行するケースが多いですが、フリーランスや個人事業主の場合は自身で税務署に申告する必要があります。

例:所得税申告の流れ

  1. 申告書の提出
    ローカルの税務署に所定のフォームを記入して提出します。
  2. 支払い
    指定の銀行口座またはオンライン決済で税金を納付します。

ペナルティの事例

税金未納や申告遅延には厳しい罰則が科されます。例えば、年間所得の10%を超える罰金が課される場合があります。特にビザの更新時に未納が発覚すると、更新が拒否されるリスクもあります。

まとめ

ベトナムの税金制度は、旅行者や在住者にとって重要な要素です。旅行者はVAT返金制度を活用してお得に買い物を楽しむことができ、在住者やビジネスを行う方は所得税や法人税の仕組みをしっかりと理解しておく必要があります。税金に関するトラブルを避けるためにも、早めに情報を収集し、必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。

この記事を参考に、ベトナムでの生活やビジネスをより快適でスムーズに進めてください!

(Photo by Unsplash.com)